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シン・トー

読書とか、日常の中で感じたこととか、空想とか

南の島の2つの国

南の南の方角に
ある大きな島がありました
その島は途方もなく広い海にありました
海は美しい南の島特有のブルーで
サンゴ礁やたくさんの綺麗な魚が泳いでいました

その島には2つの国がありました
ひとつは雨ふりの国オッタ
もうひとつは晴れの国フラージル

島の中央にある高い山の側面が全てオッタ国で
山で発生した水蒸気…つまり雲に覆われており
いつも霧で真っ白の場所と常に雨が降る場所で出来ていた
住んでいる住民の人口は少なかったし
霧や雲によって薄暗く視界も良くなく
海に面していないため
山菜を採ったり
斜面のため少ない土地を耕作して作った作物を収穫したり
限られたケモノをいなくならないように少しずつ狩ったりして
ごく質素な生活を行っていて
住民たちはその生活に満足していた

一方
フラージルでは
オッタで発生した雲は全て雨としておちてしまって
常に青い空が続いていて
軽い天気雨が降るくらい
傘をさすほどでもなく
綺麗な虹が頻繁に見られた
雨は少なかったが
オッタで地中に染み込んだ水が
いたるところから湧き出ていて
飲み水に困ることはありませんでした
平地が多く
作物もよく育ち
ムッタという家畜をたくさん育て
海では魚がたくさん取れました

フラージルは王国で
王様がいて
軍隊もありました
軍隊は何のためにあるのでしょうか
それはかつてはオッタ国を攻撃して統治しようと結成されました
しかしオッタ国を攻めても
軍隊の人数や力では圧倒的にフラージルが勝っていましたが
雨や霧という中に慣れているオッタに完全勝利を収めることは出来ませんでした
しばらく戦いは続きましたが
ある時フラージルは自分たちよりも作物が少なく
薄暗い国を手に入れてもしょうがないと思い
戦いをやめました
それ以降軍隊は王様を守り周りの雑務をやる事が主な仕事になりました

フラージルとオッタは仲直りの話し合いをして
オッタで取れた珍しいケモノ類とフラージルで取れた魚などを交換する貿易も
少しだけですが始まりました
フラージルはオッタとの交換によって手に入れたケモノを
高級品として販売することで
さらに栄え
裕福な人たちもたくさん生まれました

こうして2国とも
種類は違うけれども
人々は幸せに暮らしていました

あるとき
海から大きな大きな船がやってきました
船内には見たこともない武器を持った
軍隊が載っていました

あっけなく
フラージル国は戦いに負け
王様はいなくなり
その圧倒的な大国に従うようになりました

オッタ国の人たちは
ひたすら隠れ続けました
雨と霧にまぎれて
長い間隠れ続けました

それでもいつまでも隠れていられるわけがありません
何十年も経って
あるとき発見されました

そのときフラージル国は全く違う生活をする国になっていました
そして大国の統治は続いていました
オッタ国の人たちはまた戦いが始まると思いました

しかし
そうはなりませんでした
以前のように友好的な貿易を行えるように話し合いを行う事ができました
長い時間が経ちその間に
大国は自分たちが行った過去の戦争に対して反省をしていました
そしてオッタ国が昔の生活を続けていることを発見して
大変喜びました

ライの話

ライはオッタ国の特に高い所にある村で生まれた
霧の村と呼ばれる村で
まさに霧の中で生まれ
霧の中で育った
1度だけ大人達から行ってはいけないと言われている場所に行ったことがあった
それは限られた大人がいく事が出来る場所
霧と雨の途切れる場所だ
その景色の美しさに息を飲み
時間を忘れた
彼方にびっくりするくらい青く澄んだ空が見え
…それはラピスラズリの粒をすりつぶして水に溶かしたかのよう…
普段は数十メートルしか見えない景色が
いくらでも遠くまで見え
話でしか聞いたことなかった海も小さくですが金剛石のようにキラキラと光輝いている姿をみた
しかしそこは大人しか行けない場所で危険と聞かされていたので
残念ではあったが
ずっといたい気持ちを抑えて戻った
村に戻ったが
戻りが遅かったので大人たちには叱られた
しばらくはあの場所で見た景色が衝撃的すぎて
ぼんやりすることが増えた

ライの父親は狩猟を生業としており
フラージルとの交易も行っていた
たまに見たことないような魚を持って帰ることもあった

その日はちょうどフラージルへと出向いて行っていたが
昼過ぎ頃父親はひどく慌てて帰ってきた
大変なことが起こったと父親は言った
何が起こったかは聞いてもよくは分からなかった
とにかく何かにフラージルは攻められ
オッタも危ないのではないか…
ということだけは理解できた
情報はその日のうちにオッタ中に広がり
皆でとにかく見つからないよう
しばらく隠れ続けようと示し合わせた
それまではなるべく住みやすいより平らな部分を選んで住んでいたが
山のゴツゴツした岩場で隠れやすい場所に住居も移した
幸い
山の側面は岩場が多く
ほら穴がたくさん開いており
その中に隠れることが出来た
オッタの伝説では山が火を噴いた時に
冷えて固まったと思った山肌から
血のように溶岩が流れ出た場所に
ほら穴が出来たという事だ

ほら穴での生活自体は不便ではなかった
しかし
くらいオッタの中でもさらに暗いほら穴での生活は
そのほの暗さのように心がめいる事もあったが
次第とみなその生活に慣れていった
だが
ライは以前にあの場所で見た光景が何度も何度も思い出され
何度も洞穴から出て
あの場所に行く夢を見た
その夢が叶うことなく長い月日が経った
いつしかライも大人になっていた
以前は毎日のように思い出されたあの景色も
オッタの霧のようにぼんやりとしていった

ある時ライは獣をとりに出ていた
それは昼を過ぎた頃
ライはいつもと違う雰囲気を感じた
胸の中ににすっと冷たい風が入ってきたような
ゾクゾクっとする感覚
空を見上げると
雲は薄く
うっすら太陽の周りに丸い虹が出ていた
なんだろう…
獣たちも異変を感じて
いつもは隠れているのだが出てきて
狩られるということも忘れ山を下りだした
ライも狩りを忘れ獣たちとともに山を下りだした
しばらく歩いていると
不意に空が気になり見上げた
ライは驚いた
薄い雲を通して丸い太陽が見えるはずが
太陽が少し欠けていた
じっと見ているとまだまだ欠けていくようだった
呆然としながらも
獣とともに山を下り続けた
太陽が欠けるにしたがって
どんどん暗くなっていった
下の国との境界までは行ってはならないという事も忘れて
とうとう雲が切れる場所にたどり着いた
そこには巨大な滝があり
以前見た時のように空と海が見えた
しかし
以前とは大分異なっていた
空はもう群青色に黒を混ぜたようで
あたりは夜のように真っ暗
太陽はリングのような形で
ぼんやりと光っていた
そして
真っ暗なのにびっくりするくらい大きな半円の虹が
滝の上にかかっていた
ライはそこでハッとして景色を見回した
虹の向こう側に
驚いた表情でこちらを見ている数人の人がいた
見つかってしまった!
ライは大急ぎで村に帰り村人たちにあったことすべてを伝えた
村に帰った頃には太陽はまん丸に戻り
いつもの明るさを取り戻していた
村も昼急に暗くなったことで大騒ぎになっていた
その日のうちにライに…オッタ国に起こった事は
オッタの全ての人に伝わった
ライは攻められると思っていたが
そうはならなかった
オッタの人々はみな運命を受け入れる事にした
いずれは知られてしまう事は皆分かっていたから
何も起こらずに2日が過ぎた
3日目に使いがやってきた
そのものが話す言葉はかつてのフラージル国のものから変化した言葉になっており
なかなか伝わらなかったが
時間をかけて話をしていくとどうやら友好的であることがわかって皆ホッとした
それでも半分は信用していなかった
数日経ってオッタの人々が皆新しいフラージルに招待された
皆晴れの国の景色に驚いた
もちろん初めて来た人々が驚いたのはもちろんのことだが
交易で訪れていた人も驚いた
フラージルは元々土で住居を作る文化であった
雨が降りつつづオッタでは考えられないが
雨がほとんど降らにないフラージルでは土が主流であった
しかし
土の家はほとんど無くなっていて
石と木を使った家になっており
今まで見たことなかった2階建て以上の建物もあり
圧倒的な雰囲気を醸し出していた
聞けば土の家は戦争の時にほとんど壊れてしまったようだ

皆が海と空を満喫しました
景色の美しさに息をのんだ

その次の日
今度はフラージルの人々をオッタが招待しました
オッタの人の予想に反して
フラージルの人はオッタの幻想的な景色に感動しました
霧と山の自然の美しさ
獣が人と共存する生活や文化

ライは幸せだった
あの美しい景色を
行きたいときに見にいけ
美しい海に潜って
水面の光の乱反射にみとれたり
きれいな色の魚と泳いだり出来た
そして自分が住んでいる場所ももっと好きになれた
ライはこれからもオッタの霧の村で生きていく